ココロマップ:洞穴アドバンシス
2007年 12月 21日
「心の闇に触れるんじゃない。」
一人の老人が言った。
老人の眼差しは優しいものだった。
優しい眼差しを見て、少し安心しながらも若者は答えた。
「でも僕は、ただ救ってみたかったんだ。」
老人はいったん目を瞑り、
髪をかき上げて、その目を開いた。
さっきとは打って変わって、鋭く何かを貫くような眼光で若者に言った。
「救う...だと。
人の心の中を荒らしまわって何が救うだ。
それは単なるお前の好奇心なんじゃないか。
自分は何気なく言ってることでもな、その本人にしてみれば、
辛く、悲しいことかもしれないんだぞ。
それでもその場では悔し顔ひとつせずに...
独りになったところでこらえた涙を流す...
そんなことをさせて何が救うだ。
お前だっていやなことがあるだろう。
触れてほしくないことがあるだろう。
相手 馬鹿にして優越感に浸ってるだけの馬鹿野郎に
救うなんて語る権利はない。」
若者は目を見開き、
黒いマントをまとって、
その夜の暗闇の中へと去っていった。
空にはその若者の見開いた目のような、
暗い夜空を背後にしている、満月が昇っていた。
一人の老人が言った。
老人の眼差しは優しいものだった。
優しい眼差しを見て、少し安心しながらも若者は答えた。
「でも僕は、ただ救ってみたかったんだ。」
老人はいったん目を瞑り、
髪をかき上げて、その目を開いた。
さっきとは打って変わって、鋭く何かを貫くような眼光で若者に言った。
「救う...だと。
人の心の中を荒らしまわって何が救うだ。
それは単なるお前の好奇心なんじゃないか。
自分は何気なく言ってることでもな、その本人にしてみれば、
辛く、悲しいことかもしれないんだぞ。
それでもその場では悔し顔ひとつせずに...
独りになったところでこらえた涙を流す...
そんなことをさせて何が救うだ。
お前だっていやなことがあるだろう。
触れてほしくないことがあるだろう。
相手 馬鹿にして優越感に浸ってるだけの馬鹿野郎に
救うなんて語る権利はない。」
若者は目を見開き、
黒いマントをまとって、
その夜の暗闇の中へと去っていった。
空にはその若者の見開いた目のような、
暗い夜空を背後にしている、満月が昇っていた。
by zyakuuru212
| 2007-12-21 18:57